Arturia Comp TUBE-STA【REVIEW】/Arturia式真空管コンプレッサー

Arturia COMP TUBE-STA REVIEW
目次

Arturia Comp TUBE-STAの概要

オリジナルハードウェアは1950~60年代のラジオサウンドを決定づけた機種でした。オーディ オ信号のダイナミクスに自動的に制限をかけ、放送するのに適した信号にするのが第1の役目でした。そ の特徴的なサウンドキャラクターで、60年代のレコーディングスタジオにも普及していきました。

当然ながらこれもArturia製品ですから、ヴィンテージハードウェアをただ忠実に再現しただけでは終わ りません。オリジナルハードウェアをリスペクトしつつ、エンベロープ部に改良を加えることで味わい深 い新機能が追加でき、現代の音楽制作環境でさらに使いやすいものとなりました。 

Arturia Comp TUBE-STAユーザーマニュアルより引用

📢Arturia公式によるTUBE-STAの紹介とチュートリアル動画です

Arturia Comp TUBE-STAは、単体で購入するか、FX collection 3を購入することで入手することができます。

単体の購入はPlugin Boutique、もしくはArturia公式で購入することができます。

Arturiaのエフェクトプラグインが全てバンドルされたFX collection 3にも含まれています。

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他にもArturiaのコンプレッサーについての記事を書いています。併せてお読み頂ければ幸いです。

Arturia Comp TUBE-STAはどんな人にオススメ?

コンプレッサーは覚える・使いこなすことが難しいと言われます。

TUBE-STAを使いこなす自信が無い方もいるかもしれませんが、Arturiaのコンプはサウンドデザイン・ティップスが備わっており、それぞれのパラメータにカーソルを合わせると説明が出たり、コントロールするのに”オススメ”なパラメータをガイドしてくれたりと、ユーザーに優しい設計になっています。

そして何より負荷が軽い。これもユーザーには嬉しいですね。

「少しずつコンプにも慣れてきたし、色んなものを試してみたい」

「アナログモデリングで評判がいいものを使ってみたい」

そんな人であれば、Arturiaのコンプレッサーはオススメです。では、簡単にTUBE-STAについて見ていきましょう。

真空管(チューブ)式コンプとは?

チューブコンプレッサーには一長一短があります。反応が比較的スローなため動作は音楽的なのですが、 いかにも”コンプレッサーをかけました”的な迫力あるサウンドを出すのはほぼ不可能です。こうしたパンチのあるコンプレッションでは、反応の速さが決定的要件だからです。

Arturia Comp TUBE-STAユーザーマニュアルより引用

上の引用にもあるように、チューブコンプレッサーは万能型のコンプとは言い難いです。

チューブコンプレッサーの最大とも言える特長は、大幅なゲインリダクションを自然な感じで行える所です。

アタック・リリースのレスポンスが遅いことがその要因と思われます。

音のキャラクターは「暖かみ」「クリーミー」「スムーズ」なものとよく言われています。

このメリットは真空管特有の特性によるものと言われています。わずかながらも心地良い高調波歪みが生じることで付加される暖かみのある質感は、他の方式で実現するのが極めて難しいのです。

こういった特性から、マスタートラックに掛けて各パートをミックスに自然に馴染ませることに適しています。

適切に使用すれば、ミックスのレベルアップに一役買ってくれるコンプレッサーとなるはずです。

Arturia Comp TUBE-STAのメリット・音について

上の真空管(チューブ)式コンプの特徴を踏まえて、TUBE-STAはどうなの?

他のチューブコンプレッサーをモデリングしたプラグインと比較しても、上で挙げた「クリーミー」や「スムーズ」な色合いが付加されるプラグインだと思います。

それは例えば、ボーカルに掛けた時には気持ちの良い暖かみを加えてくれます。マスターにかけることでそれは全体に広がり、より自然な印象のトラックが作ることが可能です。

勿論、使い方によっては幅広い音作りが可能です。その鍵となっているパラメータと、アドバンスパネル内の機能について少し見ていこうと思います。

Arturia Comp TUBE-STAの使い方を見てみよう

Arturia COMP TUBE-STA GUI

Arturia Comp TUBE-STAには、スレッショルドもなければコンプレッションレシオのコントロールもありません。

Input、Mode、Recovery Time、Outputがメインに調整するパラメータとなります。

入力ソースで全てのコンプレッションをコントロールするため、Mode、Recovery Timeは覚えておきたいパラメータです。この2つのパラメータは連動して動作します。

ここでは、この2つのパラメータについて、詳しく見ていきます。

Mode(コンプレッションモード)

Arturia COMP TUBE-STA
MODEノブ

Modeノブは3ポジションのスイッチで、アタックとリリースを3段階に切り替えることでアタック (コン プレッションが適用されるまでの時間) とリリース (コンプレッションを解除していく時間) を一度に設定します。 

Single

デフォルトではこのSingleに設定されています。このモードは動作が非常にゆっくり反応します。瞬間的な音量変化には対応しないため、音の迫力が最も出やすいモードです。

Double

3段階の中では中間的なモードです。

Triple

3段階の中では最速のモードになりますが、それでもリリースは極めてスローです。

速いアタック、スローなリリースは有名な真空管式コンプ、Fairchildの動作に近いものになります。 

Recovery Time

Arturia COMP TUBE-STA
Recovery Timeノブ

Recovery Timeノブは、コンプレッションがかかっていない状態に戻るまでの時間を調節します。最速の設定にしても、実際の動作は比較的スローです。

最速では2秒、最もスローで8秒という極めてスローな設定になります。

アドバンスパネルについて

アドバンスパネルにはArturiaが独自で拡張した機能を使用することが出来ます。

アドバンスパネルの内容については以前、同じくArturia Comp FET-76の記事の中で書きました。

TUBE-STAでも同様のコントロールができるようになっています。

こちらの記事をご参考下さい

あとがき

後書き

以前、FET-76について書きましたが、今回はTUBE-STAについて書いてみました。

TUBE-STAは、チューブコンプレッサーの持つ特性と、メインであるパラメータのMode、Recovery Modeについて把握すれば大きなパフォーマンスを発揮できるコンプです。

逆に言えば、使い所を間違えてしまうと、非常にもったいないことになってしまいます。

TUBE-STAは、Fairchildがモデリングされたコンプと比べると、暖かみやスムーズさのキャラクターが強く出るコンプレッサーだと思います。

真空管コンプレッサーの中でも、細かいキャラクターを把握して使い分けが出来るようになりたいですね。

自分で書いてみて、改めて勉強になりました。何かご参考になる点があれば幸いです。


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この記事を書いた人

Quilttape名義で宅録制作しています。
使用DAWはLogic Pro。
DTM、音楽制作に関することや、個人の趣味(映画・文学・健康)などについて気ままに書いています。

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