Bonoboの新譜「Fragments」について書きたいと思います。
Bonobo 「Fragments」
前作『Migration』(2017)では全英チャートでトップ5入り、米ビルボードのダンス・アルバム・チャートでは1位を記録し、世界ツアーでは200万人を動員、名実共にトップアーティストとしての地位を築いたボノボが、5年ぶりとなる待望の最新作『Fragments』を2022年1月14日にリリースすることを発表!
最新アルバム『Fragments』には、シカゴ発の新世代R&Bシンガー、ジャミーラ・ウッズ、88risingの日系R&Bシンガー、Joji (ジョージ)、深みのある美声で高い評価を得ているSSW、ジョーダン・ラカイ、LAのシンガー/マルチインストゥルメンタリスト、カディア・ボネイ、注目の新鋭、オフリン (O’Flynn)、ヴィオラ奏者でアレンジャーとして多くの名盤に参加しているミゲル・アトウッド・ファーガソンら豪華ゲストがフィーチャーされており、いくつものアイデアの断片(フラグメント)と実験から生まれたこのアルバムは、彼らとのコラボレーションと、ボノボの爆発的な創造性が融合して完成したキャリア史上最もエモーショナルな最高傑作となった。
BEATINK.COMより引用
アルバム発売発表時に先行して「Rosewood」のMVが公開されていました。
About the 「Fragments」
Pitchforkのレビューが結構辛辣で、評価も5.4と決して高くありません。
大文字でこんなことをチクリと書かれています。
ダウンテンポのプロデューサーであるSimon Greenは、現代のチルアウトミュージックの概念に合うように進化しながら、心地よく、今風の、そしてオリジナリティのないサウンドに辿り着いた。
Pitchfork Bonobo:Fragments Album Reviewより翻訳して引用
褒めてるんだかけなしてるんだか分かりませんが、書いた人があまり満足していないのは分かりますね。
また、レビューはこんな言葉で締められています。
このアルバムは、イージーリスニングの現代版とでも言うべきもので、贅沢で美的な体験ができるのに、何の苦労もない。しかし、ローファイ・ヒップホップ・ラジオのようなものだ。
Pitchfork Bonobo:Fragments Album Reviewより翻訳して引用
このアルバムが非常に現代的と言うのは認めていますし、僕もそう思いました。
ただ、レビューは「Bonoboの作品としてどうなのか」と言いたそうな文です。聴いてみると、ここで言われていることはよく分かります。しかし、必ずしも悪い面ばかりということも無い気がします。
タイトルにもあるように(Fragment=断片)コンセプチュアルなアルバムでは無さそうですが、まさにローファイヒップホップラジオのように、一貫してリラックス出来る音楽として聴けるアルバムなのは間違い無いです。個人的にはそれが悪いこととも思いませんし、実際に求められている側面もあったのではと思います。他のレビューにも「高級スパで過ごす様な気分」とありました。確かにそんな感じ。めっちゃいいじゃないですか、高級スパ。
僕はアルバム前半の曲は単体として大好きですし、様々なシンガーをフィーチャーすることで様々な試みが行われいて、刺激的な部分もあります。ただ、後半になるにつれて、顕著に「断片的」になっていくことと、聴いててどんどんだれていくことは書いておかなきゃいけないかなと思います。
しかし、プレイリストやムードで選べるチャンネルじゃなく、Bonoboが丁度いい時は沢山あると個人的には思っています。革新的なものに疲れたら、高級スパになかなか行けないのなら、Fragmentsを聴いてみましょう。