元々はWOWOWで制作されたドラマで、数年前にも見てました。
💽 DVDが出ていますね
今Amazon Prime Videoで観れるので、改めて見返しました。(もうすぐ配信終わっちゃうそうです)
あらすじ抜粋します。
大手食品会社に勤めていた北見透(桐谷健太)は、自社の産地偽装を内部告発したことで会社を追われる。消費者を思う正義感からの行動だったが、結果的に職場仲間の人生を狂わせたことに悩む北見は、自らも妻子と別れることとなる。傷心のまま故郷に戻り、市役所の非常勤職員として働き始めた北見だが、力を持つ市長(大友康平)を中心に役所内にも癒着や不正が存在していた。(C)2014 WOWOW INC.
Amazon Prime Videoあらすじより
「埋もれる」には特徴があるので、以下にまとめてみます。
- 途中からジャンルが大きく変わる
- 暗い&重い
- 後半オチに向かっての展開
ひとつずつ見ていきます。
途中からジャンルが大きく変わる
あらすじを読んで、社会派ドラマだと思った方は多いと思います。
この話の核にあるのは「告発」です。社会派の展開で前半は進行するので、それも間違いありません。
ですが、後半は完全にミステリー/ホラーものになります。
それは音楽演出にも顕著に現れますし、ラストシーンは完全にそうです。
これを迷走と見る人も、「ん?」って思う人もいると思うんですが、僕は比較的この話に肯定的です。
ジャンルを渡りながら日本作品の不穏な感じもありつつ、良い塩梅で終わってくれたと思っています。
暗い&重い
ずっと暗いです。画も暗いし、話も重い。桐谷健太の演技も重め。
序盤は主人公の告発によって、周りの人間(家族・仲間など)も追い込んでしまった為、非難されまくります。
「正義のヒーロー気取り」とか色々言われます。主人公は延々、悶々としています。
役所に勤めてからも、市長との癒着があり、上司と揉めたりしてます。大変です、この人。
そしてキーとして登場する場所がゴミ屋敷なので、大体暗いです。
文句みたいに書いてますが、個人的には好きです。暗くて重くて怪しい話はテンション上がります。変態かもしれません。
後半オチに向かっての展開
前半の悶々とした主人公が変わり始めるのは、初恋の相手(国仲涼子)と食事に行くシーンからだと思います。
それまで大体罵倒されてきた主人公が、初恋の相手と食事に行き、「告発したのは自分で、誰も理解してくれなかった。東京でもそうだし、ここでもそう。正義のヒーロー気取って結局逃げてきたとか言われて」と、自分の気持ちを吐露し始めます。ただ、それに対して「その通りなんじゃ無い?」「周りの大切な人とも向き合わずに逃げてきたんじゃ無いの?」と言われ席を立たれてしまいます。
それにハッとした主人公は東京に戻り、守れなかった後輩や別れた家族に会いにいきます。 そして、すまなかったと不器用に頭を下げて回ります。
地元に戻った主人公は、彼女の元を再び訪れ「今戻れたら告発はしない」と言います。
この辺からどんどんミステリー化していきます。
オチについて
ネタバレなので、ご注意下さい。
僕のオチ周りで好きなポイントを挙げてみると
- 重い&暗い&不穏
- 主人公が成長することを問う話ではなくなった
- 真相の追求がされない
ひとつずつ、挙げたポイントとオチについて思ったことを書いていきます。
重い&暗い&不穏
この不気味で、不穏な終わり方はいいなと思いました。
追求がないので、「結局どうなったのか分からない」というコメントも見ましたが、個人的にはそれがいいんですよね。
この話では状況しか説明されません。主人公と観客は周辺情報から推測し、居なくなった旦那の件に初恋の彼女とゴミ屋敷の家主が関係していることを想像し、そこに向かってオチに進んでいきます。
主人公が成長することを問う話ではなくなった
主人公はスーツケースを開けた=以前と同じ選択をしたことになります。
主人公の成長を問う話ではなくなった、というのははっきり言って途中で終わってるんですよね。独りよがりだったことを謝罪に行って戻ってきた時点でほぼ終わっていると見れます。
主人公の立場に立ってみれば、「何もないよ」という彼女のセリフを信じる選択肢だってあると思います。でも、主人公がスーツケースを開けることは、観客が希望することでもあるはずです。単純にそっちに行ってくれた方がスピード感が落ちないからいいと思ったし、主人公のキャラクターに合ってるとは思いました。
真相の追求がされない
主人公と我々観客の想像通りのことがあったのだとしたら、息子の言動が何より気になります。
釣りに行った時に息子が「深いね」と言っていたり、「お母さんを守りたい」と言っていたりする。スーツケースの中身がぐずぐずになった土だったことからも、何かと差し替えられたのは明らかです。スーツケースが出てきたことに気がついた息子は、その通りお母さんを守ろうと思ったのだと思います。
結局真相は分からないままになりました。正しいことを行う、本当のことを知るにはリスクがあります。隠されているものがあるということは、隠したい人が居るということです。暴く側も暴かれる側も、どちらにも痛みがあります。
主人公は証拠を掴めなかったですが、それはそれでラッキーだったのかもしれません。もしスーツケースの中身が証拠となるものであったとしたら、主人公はどうしていたでしょうね。後ろに立っている彼女は主人公をどうしていたのでしょうね。
ラストで見えるものはちょっと蛇足かなと思いましたが、全体的には僕は好きですよこのドラマ(映画?)。
見返しても面白かったです。