1st Digital EP
「夜の箱庭」
- 土管が三本
- 冴返る
- 408
- クロール
- 夜の箱庭
- よろこび
2021.10.22 Release
All Words/Music/Mix/Mastering : Quilttape
photo : inuchiru (https://inuchill.wixsite.com/my-site-2)
収録曲の歌詞を見る→「夜の箱庭 歌詞」
🎥Quilttape/夜の箱庭 【EP Trailer】(YouTube)
1st Digital EP「夜の箱庭」をリリースしました。
簡単なセルフライナーノーツを書いてみようと思います。
「EP」について
最初構成を考えている時はあれこれ入れようと意気込んで12曲収録のアルバムで考えてました。
実際の作業を始めると途方もない感覚に絶望して8曲に削り、全体のトーンが見えてから更に削って6曲になりました。
ジャケットにinuchiruさんのあの写真を使うことはずっと決めていました。デザインはミックスとマスタリングを行き来している途中で作りました。あのジャケットに合うかどうかはその後の選考基準になっています。視覚的な影響がなければ、今の内容にはなっていなかったと思います。特に曲順は最後まで入れ替えて、試してました。
全体として楽しんで頂ければ幸いです。
Track1 「土管が三本」
タイトルが気に入っています。
別のタイトル付けるとしたら、「疲弊」とかですかね。
今回収録した中では一番古い曲です。2020年から種はあったので、そうとう眠ってました。サンプルから引っ張ってきたギターフレーズと、自分が弾いたギターを掛け合わせて作ることにハマっていた時期の曲です。
Track2 「冴返る」
「冴返る」は、「冴え返る」と表されることが多いですが、寒さがぶり返すという意味の季語です。「物事がはっきりと見える様子」という意味もあるようです。
歌詞は最初もっと直接的で、ちょっとまずいかなと思って変換しました。急に冷たいところに手を入れると、痛みに近いものが体に走ると思います。でも「冷たいと分かっているから、手を入れない」ようにしていると、どんどんおもんなくなっていく気がしています。この曲は、何より自分がそうなっていくことへの蔑視。
近年のポストパンクバンドを丸パクリしようと試験的に作り始めた曲でしたが、気に入る形になりました。
ずっと連続で歌い続けるのは好きです。録音が楽しくて、すぐ終わった印象です。
Track3 「408」
以前の記事にも書いてますが、inuchiruさんの写真に音を付けようと思って作った曲です。
トラックだけ流しながら、写真を眺めて歌詞を黙々と考えました。自分一人の曲という感じでもないので、言葉に慎重になりました。流れが絶たれないように気をつけて、歌いながら修正した気がします。
公開した後にinuchiruさんが撮影場所(宿泊したホテル)を教えてくれました。「ちなみにここです!」っていうメッセージが来た時は笑いましたが、行くことがあれば408を指定して泊まろうと思います。
一方向に進んで終わる曲が好きで、作っていて楽しかったです。濁りすぎずに気持ちの良い音にするにはどうすればいいかと色々試した気がしますし、一番目的に近づけた曲だと思っています。
先行で公開してから、MIX修正しています。
Track4 「クロール 」
この曲は作ってる段階でEPに入る曲だなと思っていたので、ある程度作ってしばらく置いてました。
最近のR&Bシンガーのアルバムを聴いてると音がとてもスマートで、ノリもしつこくなくていいなと思います。この曲を使って色々試したり、遊んだ覚えがあります。影響と言うには程遠い音になりましたが、自分が意識して作ったという意味では初めての曲なので、出来た時はうれしかったです。
この曲も先行で公開してから、MIX修正しています。
Track5 「夜の箱庭 」
今回のEPのタイトル曲。使用トラック数最多でした。
箱庭療法の本を読んだ時に、治療がどのようにして終わるのかというところに興味を持ちました。治療を受けていたある子供は、今まで作ってきた箱庭を自分で壊して外に飛び出していった時、治療が終わったそうです。
音楽を作ることは勿論表現のひとつになりますが、それは自分にとっての「セラピー」でもあり、人と繋がりを作る「ツール」であると思っています。全体的に物凄くパーソナルなEPだと思いますが、この曲には色々込めすぎて作業が億劫でした。曲を作り始めて形が出来たのは随分前ですが、完成は一番最後でした。
あと、前半部分のミックスしながら何回寝たか分かりません。「今日こそ進めるぞ」と曲を再生し、シンセがファ〜と聴こえたそばから、ぐーぐー寝てたのでめちゃくちゃ滞りました。
Track6 「よろこび」
自分の気持ちがストレートに現れたものを書くのは、暗いものであればまだいいですが、基本的には照れ臭いものです。歌詞を書く際に「何を伝えたいか・言いたいかを考える」というセオリーなどを見ると、僕は「ふんっ」と鼻で笑うタイプの捻れた人間ですが、あまり意図せずそういうものを書いてしまいました。ここで反映されたのは、祈りであり願望です。作ったあとからそれが分かってきて、最後に持ってくることにしました。
唯一アコギ録音した曲です。歌終わり、アウトロに歌詞を書いたメモを指でペンペン叩いている音が入ってます。
セルフライナーノーツでした。
いらんことまで書いてしまった気がしますが、何かのきっかけになればいいと思って書きましたし、「夜の箱庭」という作品が少しでも誰かに刺さるものであれば、それはこの上無い幸せです。
最後まで読んでいただけた方、ありがとうございます。
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